伝統建築文化推進協議会ニュース

平成25年5月21日

福島県喜多方市上三宮の県指定文化財叶山願成寺阿弥陀堂(千仏堂)震災復興改修工事の現場説明会が開催された。設計監理はスタヂオ・ブラフマン(代表熊田慎吾)で、修理の技術的監修指導は福島県文化財保存審議委員の狩野が担当する。

条件として、可也難しい局面も想定される。その第一は、予備調査・設計段階が施工と同時進行であるという矛盾である。県が予算建ての為に用意した計画書は、予算執行から年度内に「設計から施工完了までを含めて年度内に」という条件である。

昨年度の本堂復興修復工事は、着手金の交付が10月末、完了時の支払いが5月21日付けであった。その間に、当初の予想を超えるような要補修箇所が幾ヶ所も出てきて、現場での遣り取り、変更図面の作成には必要以上の手間暇が要求されている。天候不順、予算執行の遅延等々が重なって、大変に困難を極めたことであった。行政における予算執行担当者の無知がなせる業?と思われても仕方がなかろう。降雪時期になれば、除雪費用もその中に計上されなければならないが、着工時期が遅れれば遅れるほど、天候による影響が大きく出てくることは常識である。その経験から、予算策定時に、急遽、設計監理事務所を間に入れる(予算補助は喜多方市で随契)ことに決定した次第である。


その結果、阿弥陀堂では施工の段取りの中に復興修理の設計図書作成を先行させることが必要となる。最初期に、通し貫から上の部分をリフトアップした状態で屋根の改修工事を先行させ、その段階で斗栱および組手仕口の修繕補強を行った後に、床に井桁を組み、柱脚をリフトアップした上で地中梁・礎石の設置を行う基礎工事の段取りとなることを示唆。そのような施工手順、施工方法に対する提案内容が審査対象になる。地元周辺の技術者養成も企図しているので、過去の経験に捉われない。入札〆切は6月6日、同7日開札、落札者発表の段取りとなっている